「うちの子牛乳嫌いだから、背が伸びないのかしら…」
そんな悩みを持っているお母さんは少なくありません。
牛乳に含まれるカルシウムは骨や歯の元となる成分ですから、不足すれば身長に悪影響が出るというイメージがありますよね。
そこで最近注目されているのが、「セノビック」です。
豊富なカルシウムが配合されているため、成長期のお子さんに良いといわれているのです。
そこで、実際にはどうなのか、様々な角度からチェックしてみました。
お子さんの成長が気になる方は、ぜひ参考にしてくださいね。
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セノビックはどんな商品?
まずは、セノビックについて簡単に説明します。
セノビックを販売している会社は?
セノビックは、ロート製薬が販売しています。
創立は1899年と非常に歴史ある企業で、大阪で信天堂安田安民薬房として創業。
日露戦争後にロート目薬を発売し、目薬の第一人者となりました。
その後1954年には胃腸薬、1979年には薬用リップ、1985年には妊娠検査薬と分野を広げ、現在は健康食品や化粧品の分野でもトップクラスです。
セノビックの値段は?割引はあるの?
ロート製薬の製品は店頭販売が主流ですが、セノビックは通販です。
定価は1個半月分が1,296円(税込)、2個セット1ヶ月分で2,160円(税込)です。
また「全力応援コース」という定期コースを選ぶと、初回が10%OFFの1,944円(税込)になります。
2回目以降は定価になりますが、送料無料やシェイカーのプレゼント、個数に応じた割引などがあります。
セノビックの特徴は?
①カルシウムが豊富
セノビックは1日2杯摂取することを前提としており、1日の摂取量は260mgです。
厚労省の2020年版・日本人の食事摂取量基準によると、カルシウムの1日摂取必要・推奨量は以下のように定められています。
年 齢 | 男 子 | 女 子 | ||
平均必要量 | 推奨量 | 平均必要量 | 推奨量 | |
1~2歳 | 357mg | 428 mg | 346 mg | 415 mg |
3~5歳 | 489 mg | 587 mg | 444 mg | 532 mg |
6~7歳 | 487 mg | 585 mg | 448 mg | 538 mg |
8~9歳 | 538 mg | 645 mg | 625 mg | 750 mg |
10~11歳 | 590 mg | 708 mg | 610 mg | 732 mg |
12~14歳 | 826 mg | 991 mg | 677 mg | 812 mg |
15~17歳 | 670 mg | 804 mg | 561 mg | 673 mg |
しかし、実際の摂取量はこの数値を大幅に下回っています。
平成30年国民健康・栄養調査によると、以下の結果になっています。
年 齢 | 男子 | 女子 |
1~6歳 | 413mg | 381mg |
7~14歳 | 668mg | 603mg |
15~19歳 | 523mg | 424mg |
年齢幅が両者で違うものの、男女とも成長期にカルシウムが不足気味なのがわかります。
そこでセノビックを1日1~2杯飲むことで、不足分を補うことができるのです。
②独自成分オリゴミルを配合
オリゴミルはロート製薬が2009年に開発した牛乳タンパク質由来のペプチド(アミノ酸が2個~49個結合したもの。50個以上結合したものはタンパク質となる)です。
免疫力を高める作用があり、ウイルスや細菌に負けない健康な身体を作る機能性成分とされています。
③好みに合わせて味が選べる
セノビックには、ミルクココア味、いちごミルク味、バナナ味、ヨーグルト味、ポタージュ味、レモン風味のセノビックウォーターがあり、どれも美味しいと好評です。
セノビックにはどんな成分が含まれているの?
セノビックの成分と、その働きについて説明しましょう。
カルシウム
カルシウムは体内に存在するミネラルで最も多いもので、体重の1~2%あります。
99%が骨と歯にあり、あとの1%は血液などに含まれています。
骨などの健康維持になくてはならないものですが、たった1%の血中血液は常に同じ濃度に保たれるようになっているため、カルシウム摂取が不足すると、骨のカルシウムが奪われてしまいます。
その結果、骨が発育不全となったり、高齢になった時に骨粗しょう症などを引き起こしたりするのです。
子供の頃からしっかりカルシウムを摂取することが、一生の骨の健康を決めるといえるでしょう。
鉄
鉄の主な役割は、赤血球を作ることです。
体内の鉄の約7割はヘモグロビンの中に存在し、体内に取り込まれた酸素と結合して全身に運び、常に新鮮な酸素を供給しています。
鉄には2種類あり、吸収率もかなり違います。
どちらも低いのですが、動物性食品に含まれるヘム鉄は約23%、植物性食品に含まれる非ヘム鉄はたった5%といわれています。
しかし、日本人は約7割を非ヘム鉄から摂取しているという統計があり、常に不足しやすいのです。
特に女子は生理が始まると毎月血液が排出されてしまうため、鉄欠乏性貧血の原因となります。
ビタミンC
ビタミンCというと大人の女性は美白を思い浮かべますが、それ以上に大切なのが、コラーゲンの生成です。
骨は主成分がカルシウムとコラーゲンで、コラーゲンは束になってビルの鉄筋のような働きをしています。
そのため、コラーゲンが不足すると鉄筋の質が悪くなり、弱い骨になってしまうのです。
ビタミンD
ビタミンDは腸内でカルシウムの吸収を促進する働きがあります。
日光を浴びることで作られるため、食事でわざわざ摂取しなくても良い栄養素なのですが、近年外遊びをしなくなった子供にビタミンD不足が増えています。
不足すると子供特有の骨(成長軟骨板)が充分発育できなくなるため、くる病になりやすいといわれています。
ビタミンK
ビタミンKは骨粗しょう症の治療にも使われる成分で、骨のタンパク質を活性化してカルシウムを沈着させやすくする役割があります。
腸内細菌から作ることができ、さらに食品中にも含まれているため、通常不足することはありません。
しかし、緑黄色野菜や納豆に多く含まれているため、これらを日常的に摂っている人といない人では摂取量が大幅に違い、骨の健康にも影響が出るといわれています。
ボーンペップ
ボーンペップは卵黄に含まれるタンパク質(ペプチド)で、カルシウムの働きを助けて骨の成長に係る骨芽細胞を強化する作用があります。
骨の細胞には骨を作る骨芽細胞と骨を溶かす破骨細胞があり、この2つのバランスによって新陳代謝が行なわれています。
しかし、食生活やホルモンバランスの乱れによって破骨細胞が増えると、骨がもろくなってしまうのです。
ボーンペップには破骨細胞の活性を抑える働きがあり、骨の形成や成長に重要な成分です。
セノビックを飲んでいれば背が伸びる?
カルシウムは、ミネラルの中でも吸収されにくいという特性があります。
カルシウムの食事からの吸収率は大人が20~30%、成長期の子供でも40%前後といわれ、それを見越した必要摂取量や推奨量が定められています。
しかし、その数値以上に摂取している人はわずかで、上に挙げた表の通り、成長期の子供の場合、特に男子は100~200mg不足しているのです。
そこに着目したのが、カルシウムを豊富に含んだセノビックです。
セノビックは1回8gを1日2回飲むことで、260mg取り入れることができるのです。
では、セノビックを摂取しさえすれば、身長は伸びるのでしょうか。
カルシウムには骨の成長を促す作用がない?
日本小児内分泌学会は、カルシウム製剤には骨を強くする効果は期待できるものの、伸びる作用はないとの見解を示しています。
食事などで必要摂取量を大幅に下回る場合は、摂取することで骨の成長が促進し、身長が伸びる可能性はあります。
しかし、誰でも飲みさえすれば背が高くなる訳ではないのです。
カルシウム、鉄、ビタミンDを含んだサプリメント
これらの栄養要素の不足により、もし成長が阻害されている場合には、栄養要素を補充することにより成長が正常化する可能性はあります。たとえば主に乳幼児期に発症するビタミンD欠乏性くる病では、成長障害がおこり、ビタミンDの補充により成長は正常に回復します。しかしこれらの栄養要素の不足がない場合には、これらの栄養機能食品を投与しても成長促進するという科学的なデータはありません。また多量に摂れば健康を損なう恐れがある一方で、成長が促進するという客観的なデータがありません。特にカルシウム製剤は、成長を促進すると思われていますが、骨を強くする作用はありますが、成長促進作用はありません。
子供用サプリは安全性のチェックが甘い?
国立健康・栄養研究所 情報センター長の梅垣敬三氏は、このように警告しています。
子供用のサプリと言うのは企業にもよるがそれなりにチェックはされているが、製品が本当に安全なのかは正確には分からない。
例えば自分の子供に実験をするから被験者になってと言っても誰も同意しない。
お菓子なら良いと言っても特定の成分が濃縮されたモノを使って安全性や有効性の試験に参加する子供を集めるのはまず無理。
そういう事に賛同する人はまず居ないので安全性や有効性のデータは正確にはないはず。
これを読むと、いくら成分そのものが安全性が高いからといって、サプリもそうだとは限らないことがわかります。
セノビックはロート製薬の商品ですから、信頼性は高いかもしれません。
しかし、発売前に何十人、何百人もの子供を使って安全性や効果のチェックをしたのかどうか…。
梅垣氏のおっしゃる通り、子供をサプリの実験台にしたいと考える親御さんはそうそういないでしょうから、やはり安易な摂取は考えるべきかもしれませんね。
さらに、子供が長期間過剰にカルシウムを摂取することで、泌尿器系の結石などの健康障害を引き起こすこともあるのです。
サプリの前に食事で摂ることを考えましょう
上の平成30年国民健康・栄養調査の結果をもう一度見てください。
7歳~14歳のカルシウム摂取量は、不足ながら15歳~19歳よりはるかに多くなっているのがわかりますね。
これは「小学校の学校給食」で、カルシウムを多く含んだメニューが考えられているからです。
つまり、家庭での毎食でカルシウムをできるだけ摂らせるようにすれば、不足分は解消できる可能性が高くなるのです。
カルシウムを多く含む食材は?
牛乳が嫌い、体質に合わないからサプリ…というお母さんは少なくありません。
しかし、カルシウムが豊富な食材はこんなにあります。
食品 | 1回の摂取量 | カルシウム含有量 |
わかさぎ | 70g(4尾) | 315mg |
牛乳 | 210g(1カップ) | 231mg |
スキムミルク | 20g(大さじ3強) | 220mg |
うなぎのかば焼き | 100g(1串) | 150mg |
厚揚げ(生揚げ) | 60g(1/3枚) | 144mg |
アイスクリーム | 100g | 140mg |
木綿豆腐 | 150g(1/2丁) | 129mg |
さばの水煮缶 | 50g | 130mg |
プロセスチーズ | 20g | 126mg |
ヨーグルト | 100g(1/2カップ) | 120mg |
これらすべてが食べられない体質というのであれば、サプリの摂取はやむを得ないかもしれません。
しかしできるだけ工夫して、食事で摂ることを第一に考えましょう。
最後に
お子さんの成長のためにサプリを…というのは、近年になって言われるようになったことです。
しかし、子供を臨床試験やモニターに使うことは、ある疾病で苦しんでいる場合に新薬やサプリを…というのがほとんどです。
大人に比べると圧倒的に治験数・モニター数が少ないため、いくら大手メーカーの商品といえど、過度に信頼するのは危険です。
まずは毎日の食事を見直し、それでも効果が見られない場合は一度小児科で相談することをお勧めします。